先日、外国人技能実習生に向けて「命の授業」を行いました。
今回参加したのはバングラデシュ、ベトナム、インドネシア、ネパール、フィリピンの5か国からの実習生たちです。
まず最初にみんなに質問。
「日本人が一番嫌うこと、な〜んだ?」
みんながすぐに「嘘!」と答えてくれました。
さすが、よくわかってる。
でも実際には、過去に嘘をついてトラブルになった先輩がいたんです。
作業中にミスをしたにもかかわらず「自分ではない」と言い張った先輩が、
防犯カメラの映像でミスをしていたことが確認されました。
その結果、会社はその先輩を信頼できなくなり、現場に入れなくなりました。結局、仕事も失ってしまいました。
仕事でミスをすることは誰にでもあります。
でも、それを正直に報告することが大切です。
報告すれば一時的に怒られるかもしれませんが、嘘をつけば信用を失い、長期的に自分が損をすることになります。
嘘は時に重大な事故にもつながります。
ここでまた質問タイム!
「なぜ人は嘘をつくの?」質問すると…
「怒られたくないから…」
「自分の価値が下がるのが怖いから…」
うん、正直で素晴らしい。
でもその「守ろうとした自分の価値」、嘘で全部なくなることもあるよね。
ここに紹介した、バングラデシュ出身の実習生の先輩が、5月にお母さんが亡くなったため一時帰国を希望しました。
組合と会社は、緊急対応し、彼を帰国させ、2週間で戻るという約束をしました。
しかし3週間経っても戻らず、連絡もありませんでした。
SNSで確認したところ、実際にはその間に結婚していたことがわかりました。
え?お母さんの葬儀じゃなくて、結婚式!?
この話をみんなにし、「自分が社長だったらどうする?」と聞くと、ほとんどが「クビにする」と答えました。
実際にはその先輩はクビにはなりませんでしたが、会社からの信頼は完全になくなりました。
この影響で、今後バングラデシュからの実習生が同じように緊急帰国を希望する場合、
組合は厳しく審査するようになっています。
このようなことは、事前に相談していれば、問題にならなかったはずです。
だからこそ、日本では「報・連・相(報告・連絡・相談)」がとても大切だということを伝えました。
面接のとき、よく聞くセリフ。
「日本は安全な国だから行きたいです!」うん、確かに世界でもかなり安全な国。
でも、実は働く現場では、2023年に755人が労働災害で亡くなっています。
みんな一瞬静まり返りました。目が丸くなる実習生たち。その後、私は実際にあった悲しい事故を紹介しました。
インドネシア実習生が建設現場で足場から落下し、命を落とした事故の例も話しました。
彼は10階の建物で作業しており、ハーネスのフックをほんの少しだけ付けていませんでした。
「少しだけなら大丈夫」と思ってしまったのでしょう。
しかし、その「少し」が命取りになりました。家族も会社も組合も、みんな深く悲しみました。
事故は一瞬です。そして、その一瞬がすべてを変えてしまうのです。
だからこそ、「安全第一」が何よりも大切です。
たとえ周りにルールを守っていない人がいても、自分は必ず守ること。
職場の安全規則に絶対に従うこと。
これは、自分の命だけでなく、家族や仲間の幸せを守ることにもつながります。
会社と組合、そして家族は、あなたたちが元気で幸せに暮らせることを心から願っています。
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